ベーシック・セオリー
相関性を最適化させるICTプラットフォーム
―すべてを満たすミディアム―
高次媒体理論に基づく、評価本位貨幣“インターカレンシー”、及び価値交換領域“インターヴァース”について
セクション1:MMT(Meta Mediums Theory)の概要について
セクション2:評価本位貨幣(Evaluation standard money)について
セクション3:価値交換領域(Value exchange domain)について
セクション4:構築可能なICTプラットフォームのモデルについて
1,高次媒体理論に基づく評価本位貨幣について
MMT(META MEDIUM THEORY/高次媒体理論)により、無限の信用創造を可能とする真なる本位貨幣の生成・流通技術を確立いたしました。
従来の通貨が有していた課題を根本から解消し得る、経済価値が評価に基づく購買力に本位する、価値尺度の基準(価格の度量標準)の制御可能な本位貨幣を生成・流通させるICTアルゴリズムの発明によって、価値尺度財(ニュメレール財)としての本位貨幣であって信用貨幣でもあり、CBDCとして統一通貨や国際通貨、さらには世界統一通貨にもなり得る、無償価値も媒介可能な評価本位貨幣「インターカレンシー」が誕生しました。
人類史上初の真の貨幣(TRUE MEDIUM)の誕生です。
1-1,MMT(Meta Medium Theory/高次媒体理論)の概念
本稿にて開示する理論は、【MMT「高次媒体理論」(Meta Medium Theory)】と称します。
これは、「文字などを用いる情報伝達手段も、貨幣などを用いる情報伝達手段も、どちらも情報(価値)を運ぶ媒体であり、これらは相関性を有している」という視点によるものです。
つまりMMTとは、価値交換媒体を様々な視点から高次に考察する理論です。
MMT(Meta Medium Theory)によれば、文字も、貨幣も、そして数多のICTプラットフォームも、サイバースペースや国土さえもが「MEDIUM」として、私たちの生活する社会、すなわち共同体において、「私たちの相関性を左右する媒体である」と理解されます。
私たちは、キャピタリズムも、ジャーナリズムも、そしてリベラリズムさえもが、社会、すなわち共同体における「MEDIUM」がどのように定義付けされるかによって、決定付けられるということを知る必要があります。
まとめますと、「MMTは、人間を人間たらしめる共同体という社会メカニズム(経済メカニズム)を再定義しようとするもの」と言えるでしょう。
本稿では、私たちの生活において基礎を担っている「文字(言語ベースのMEDIUM)」と、「貨幣(負債ベースのMEDIUM)」とについて、これらの相関性を紐解き、人類の未来の在り様を考える契機を提供します。
ところで、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)もMMTと称されますのでわかりにくくなっておりますがご容赦ください。
なお、本稿で開示するMMT(高次媒体理論)が従来の通貨を前提とせず発明による新たな通貨を流通させることを前提にしている理論であることに対して、現代貨幣理論としてのMMTは従来の通貨が流通し続けることを前提としている理論であることによる決定的な違いが両者にはあります。
しかしながら、両者の基礎にある考え方は共通していることから、これら2つのMMTは一体的に理論を深めることが正しい姿です。
ご指導いただける機会があると幸いです。
以降、本稿をご覧になっていただくにあたりましては、「文字」も、「貨幣」も、そもそも「媒体」である、として読み進めていただくと、MMT(高次媒体理論)を深くご理解いただけます。
なお、MMT(高次媒体理論)の核に位置する発明したICTアルゴリズムの詳細につきましては特許出願明細書から確認していただけます。
1-2,プロローグ
1-2-1,ICTプラットフォーム(情報伝達技術基盤)
私たちの社会を支えるICTプラットフォーム。
その形が今まさに変わろうとしています。
- ビッグデータ
- AI
- IoT
- 5G
- VR
- ブロックチェーン
- フィンテック
- モビリティ
- 衛星通信
- シンギュラリティ
- 情報革命
私たちは、今まさに時代の変革期に生きています。
古来、私たち人類の祖先は、生きるために共同体を作り、そしてその中で周りの人々と手を取り合い生活することで、日常における様々な危険を回避し、そこからいろんなものを発明することで生活を豊かにしながら現代にまで命をつないできました。
その中でも特に大きな発明とされているのが、「文字」と「貨幣」です。
現代においても、「文字」も、「貨幣」も、どちらも私たちの社会に欠かすことのできない、とても大切な社会基盤(インフラ)です。
私たち人類は、「文字」と「貨幣」があったからこそここまで文明を発達させてきたといえるでしょう。
ところで、「ICTプラットフォーム」と聞くと何をイメージするでしょうか?
SNSでしょうか?
検索エンジンでしょうか?
ECサイトでしょうか?
メディアでしょうか?
動画や音楽の配信サービスでしょうか?
これらは、皆、当然に、ICTプラットフォームと言えるでしょう。
もう少し踏み込んでみましょう。
「ICT」の「I」とは、「Information」つまり「情報」です。
「ICT」の「C」とは、「Communication」つまり「伝達」です。
「ICT」の「T」とは、「Technology」つまり「技術」です。
このように、「ICT」とは、「情報」「伝達」「技術」であり、ICTプラットフォームとは、「情報伝達技術基盤」ということになります。
ここで少し考えてください。
人類の大発明とされる「文字」も、「貨幣」も、これらは何のために誕生したのでしょうか?
私たちの祖先が日々生活する中で、仲間たちの間で場所や時間を超えて「情報」を「伝達」する「技術」が必要とされる場面はたくさんあったことでしょう。
そうした日々の生活の中から必要に迫られて「文字」も、「貨幣」も発明されたとされています。
つまり、「情報伝達技術基盤」、すなわち「ICTプラットフォーム」として、「文字」も、「貨幣」も誕生したということです。
このように、ICTプラットフォームとは、なにも現代の先端技術によって生まれたものではなく、私たち人類が絶滅することなく今に至る原因として、古来より、生きていくために必要な基盤として、私たち人類の身近にあったものだと言えるでしょう。
その形が今まさに変わろうとしています。
1-2-2,文字と貨幣
「文字」と「貨幣」とは、そもそもなんなのでしょうか?
情報伝達技術基盤(ICTプラットフォーム)としての、「文字」と「貨幣」とを考えたときに、共通する概念として、場所や時間を超える「情報の記録と共有」という要素が挙げられます。
そうすると、SNSも、検索エンジンも、ECサイトも、メディアも、コンテンツも、そして「文字」も「貨幣」も、これらはすべて、私たちが場所や時間を超える「情報の記録と共有」を行うために存在しているものだと言えます。
私たち人類は、原始の時代から現代にいたるまで、ICTを進歩させながら進化してきました。
その中でも、「文字」と「貨幣」の果たす役割はとても大きかったと言えるでしょう。
「文字」と「貨幣」とは、文明を発達させる原動力となる社会基盤としてのICTであると言えます。
1-2-3,価値を運ぶ言葉としての文字
まずは「文字」について考えてみましょう。
「文字」は、共同体で使われる言葉に紐付いて存在しています。
そして、「文字」とは、考えや、出来事などの「言葉」としての「情報」を、共同体の中で場所や時間を超えて「伝達」するための「技術」です。
「文字」が書けなかったり読めなかったりすれば、「情報」は、共同体の中で場所や時間を超えて「伝達」されません。
「文字」は、共同体を維持・発展させるうえでとても大きな役割を果たしました。
世界には、たくさんの言葉があり、そしてたくさんの「文字」があります。
私たちは、まずは共同体における言葉を学び、その読み書きを学び、そして余力や環境があれば、元の言葉以外の言葉や「文字」を学びます。
そして今日では、共同体を超える言葉や「文字」として英語という共通の言葉が用いられることによって、共同体をまたいだ情報の伝達を行うことができるようになってきています。
また、翻訳エンジンのように、文字の機械翻訳技術も進歩しています。
さらに、AIアシスタントのように、音声の機械翻訳技術も進歩しています。
私たち人類は、近い将来、言葉や文字で隔てられた共同体の壁を超えて、世界中の人々と場所や時間を超えて「情報」を「伝達」し合うことができるようになることでしょう。
このように、共同体における言葉としての情報を人々の間で伝達し合う「文字」というICTプラットフォームは、近い将来、容易に国を超えて世界中に広がるようになります。
もうすでに、言葉や文字を取り扱う世界規模のICTプラットフォーマーは続出してきていますから、あとはもう時間だけの問題です。
「文字」というICTプラットフォームは、世界中の人々の間で文字の向こう側にある情報という価値を相互に伝達し合う媒介手段としてグローバルに流通するようになることでしょう。
私たち人類の情報伝達欲求、すなわちコミュニケーション欲求は、進化の過程で生命に深く刻み込まれた原始的な機能です。
この力はとても大きなものです。
そして、この力こそが、「場所や時間を超える情報の記録と共有」としての「文字」という「価値の媒介手段」を取り扱うICTプラットフォーマーの力の源泉です。
「文字」は、「言葉で表す情報という価値」を場所や時間を超えて私たちの間で流通させるためのICTプラットフォームだと言えます。
「文字」とは「価値交換媒体」であったということです。
1-2-4,価値を運ぶ貨幣(負債としての信用貨幣)
次に私たちが「おかね」と呼ぶ「貨幣」について考えてみましょう。
少し踏み込んで説明すると、私たちが使用している「おかね」は、「信用貨幣」と言い、負債に紐付いて存在する社会の仕組みです。
そして負債とは、反対側に資産を生み出す、貸し借りの「借り」のことです。
つまり、「借り」の証明として信用貨幣は「貸し」側に生まれます。
端的に表現すると、信用貨幣は、その起源だとされている5000年ほど前から今に至るまで、共同体において、常に誰かの「負債」、つまり「借り」によって生成され流通してきました。
このように、「信用貨幣」という、共同体におけるICTプラットフォームにおいて記録され共有される情報というのは、「負債」の記録です。
つまり「信用貨幣」とは、「負債」の反対側にある「社会の仕組み」としての可視化された資産の象徴です。
言い換えると、「おかね」とは、共同体において人々の間でモノやサービスや賠償などの「価値」を、場所や時間を超えて移動させるための社会の仕組みとしてのICTプラットフォームです。
「おかね」の仕組みがなければ、「価値」は、共同体の中で場所や時間を超えて移動しません。
「おかね」は、共同体を維持・発展させるうえでとても大きな役割を果たし続けてきました。
「貨幣」とは、「価値交換媒体」であったということです。
私たち人類は、「信用貨幣」の誕生によって、長い間ずっと資産の象徴としての「おかね」を求めて生活してきました。
そこに盲点があって、つまりは、私たちは、すぐそこに見える可視化された象徴としての「おかね」をより多く集めようとするバイアスが生じてしまうことから、その本質である「おかね」が「信用貨幣」であって(どこかの誰かが抱える)「負債」であるということを認識し辛くなったようです。
また、信用貨幣は、本位貨幣とは性質が異なっており、自らに購買力を宿していないがために、価値尺度機能も、価値保蔵機能も、本当のところ、あるのかないのかわからなくなっています。
つまり本質的には、信用貨幣には何の価値もないということです。
あるのは「負債」の存在のみです。
私たちは、「負債」を帳消しするためか、若しくは「負債」が生じる時に「負債」を帳消しするために、誰かが抱える負債の反対側に生まれる「おかね」を集めているにすぎません。
私たちは、10年前に信用貨幣というICTプラットフォームの脆弱性による金融危機を経験しました。
※サブプライムローン問題 、リーマンショック 、世界金融危機
私たちは、その原因が信用貨幣の性質にあることに薄々気づいています。
共同体における言葉としての情報(価値)を伝達する「文字」というICTプラットフォームが容易に国を超えて世界中に広がるように、共同体における負債としての情報(価値)を伝達する「信用貨幣」というICTプラットフォームもまた容易に国を超えて世界中に広がります。
もうすでに言葉や文字を取り扱うICTプラットフォーマーは、貨幣をも取り扱うICTプラットフォーマーに変容しようとしています。
これは、「文字」も、「貨幣」も、どちらも「場所や時間を超えた情報の記録と共有」を行うICTプラットフォームですから、自然の流れとも言えます。
「文字」も、「貨幣」も、どちらも価値交換媒体であったということです。
1-2-5,未来の私たちは今の私たちに何を望むのか
私たちは、私たちの生活する社会の基盤である、言葉に紐付く「文字」や、負債に紐付く「貨幣」という、ICTプラットフォーム(情報伝達技術基盤)について、未来を見据えたうえでシッカリと考えなければならない時期にきています。
私たちの社会を支えるICTプラットフォーム。
その形が今まさに変わろうとしています。
原始の時代から私たち人類は、一人だけで生きるのではなく、共同体を形成して、仲間と共に暮らしました。
そうしてICTを発達させ、発明を繰り返すことによって現代にまで生きながらえてきました。
今日では、共同体の垣根はとても低くなり、私たち人類は、地球という共通のプラットフォームを皆で共有し合い、共同体を超えて相互に価値を交換しながら関係性を構築して生きています。
言わば、私たちは「国」という共同体に属しながらも、同時に「人類」という共同体にも属しているということです。
この流れは、否応なくこれからもずっと加速し続けます。
そしてICTもまた、これからもずっと発達し続けることでしょう。
私たち人類にとって、このような力の源とはいったいどのようなものなのでしょう?
そして私たち人類は、いったいどこに向かって進んでいるのでしょう?
また私たち人類は、いったい何を望んでいるのでしょう?
ここに、一つの仮説に基づく未来におけるICTの在り方について研究した成果をお伝えします。
この成果が皆様の力をもって、更なる成果として未来を照らす希望にまで昇華されることを願っています。
私たちの未来は、今の私たちの行動によって決まります。
1-3,イントロダクション
おかねとは、私たちの創出する価値が、私たちの間で移動されやすくなるための価値の仲介役としての役目を持った、社会における時間や場所を超える購買力の移転手段です。
つまり「おかね」とは「価値交換媒体」であって、時間や場所を超えて私たちの間で価値が移転され、そうして私たちによって、また新たな価値が創出されやすくなるための「社会の仕組み」です。
「おかね」という「社会の仕組み」がシッカリと役目を果たしてこそ、私たちの間で価値が円滑に循環し、新たな価値が創造され続け、そうして社会は豊かになっていきます。
「おかね」という「価値交換媒体の仕組み」は、私たちの社会を成り立たせるうえで、とても重要な役目を果たしていると言えるでしょう。
翻って、現在、私たちが使っている銀行券や預金等の「おかね」という「社会の仕組み」に地殻変動が起き始めています。
詳しくは割愛させていただきますが、要因としては、技術進歩に伴う経済のグローバル化、価値流通速度(及び度量)の増加、価値の多様化や細分化、及び債務膨張等が挙げられます。
またこれは、一部で現代貨幣理論が提唱され始めている所以でもあります。
私たちは、今まさに時代の変革期に生きているということを認識する必要があるでしょう。
発明されたICTアルゴリズムに基づき流通する評価本位貨幣を中核に置くMMT(高次媒体理論)は、こうした社会背景に鑑み、私たちを取り巻く数多の社会課題を解決することを目的とした研究から誕生しました。
つきましては、本稿を通じて、情報革命の一躍を担い得る、誕生したMMT(Meta Medium Theory)に基づく評価本位貨幣の仕組み(すなわち実現可能な未来の社会システム)について皆様にお知らせいたします。
株式会社MAXELE
代表取締役ファウンダー 渡邊 和豊
1-4,評価に基づく購買力に経済価値が本位する、価値の尺度を図る基準(価格の度量標準)の制御可能な本位貨幣の生成・流通技術の発明
従来、富と負債の計算手段に過ぎなかった現代貨幣(信用創造システムによるバンクマネー)システム等の価値交換媒体流通システム(通貨流通システム)に、この度、ファウンダーによって発明されたMMTに基づくフィンテックアルゴリズムを内在させることによって、貨幣の単位そのものに経済価値(購買力の源泉)を生じさせ、更に、貨幣の単位そのものに生じさせる経済価値(購買力の源泉)の大きさを制御することができるようになりました。
これは、言わば、「1ドル」等の貨幣単位という器の中に、その他の価値に交換することのできる価値としての購買力を宿しながら、更に、「1ドル」等の貨幣単位という器の中に宿す購買力の大きさ(その他の価値に交換することのできる価値の大きさ)を、本発明を内在させる新たな通貨流通システムにおいて運営主体が任意にコントロールすることができるようになったものです。
なお、当該器に入れる購買力の源泉としての中身は、コミュニティー(すなわち共同体)の内部において無償で流通する情報の価値になります。本発明を用いる一つの好適なパターンでは、共同体内部において無償で流通する情報を価値化するアルゴリズムと、そこから通貨を生成するアルゴリズムと、さらにもう一つの通貨を元の通貨に連結して流通させるアルゴリズムとを一体的にICT プラットフォームに組み込み、これらのアルゴリズムを一連処理することによって、流通させる2つの通貨を、それぞれ部分的機能に特化させて機能を向上させつつも1つの完成された優れた通貨として一体的に機能を発揮させるようにしているものです。
すなわち、古来、貨幣の存在しない時代より人類が共同体を構成する上で中核に置いた「評価経済」(評価経済社会)を、現代においてグローバルに実現するための社会の仕組みとしての本位貨幣の生成・流通技術を確立したものです。
これにより、本発明を用いる新たな通貨システムでは、従来は、経済状況等によって受動的に変動してしまっていた、本源的な経済価値が自己に備わっていない現代貨幣の単位あたりに含まれる経済価値(価格の度量標準)を任意に制御(実行力をもって能動的にコントロール)することができるようになり、永きにわたり人々が悩まされてきた金融不安や経済不安、更には通貨流通速度や富と負債の再配分等を適切に制御できるようになるものです。
1-5,信用創造可能な価値尺度財としての本位貨幣であって信用貨幣でもある国際通貨になり得る【評価本位貨幣インターカレンシー】の誕生
価値の尺度を図る基準(価格の度量標準)の生成・制御技術の発明によって、デジタル通貨(仮想通貨)や法定通貨等の従来の価値交換媒体(通貨)の課題を解消した、経済主体間を無償で移転する経済価値に価値が本位される(購買力の生じる)通貨であり、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、さらには国際通貨にも応用が可能な未来の通貨でもある、評価本位貨幣【インターカレンシー】が誕生しました。
1-6,ステーブルコインとしてもCBDCとしても機能を発揮する評価本位貨幣【インターカレンシー】とは?
1-6-1,評価本位貨幣とは
評価本位貨幣とは、貨幣単位(通貨単位)あたりに内在する購買力の源泉が、利用者間の無償価値交換活動において無限に生じ続ける経済価値としての評価に置かれる、価値が評価に本位される貨幣(通貨)であり、価値を外部の資産に依存する金本位貨幣(金本位通貨)や(ICO等による)ステーブルコインとは一線を画します。
また、評価本位貨幣とは、コンピュータ間の電子データのみでやり取りされる仮想通貨(暗号資産)の分類に位置する共同体の中(コミュニティー)における価値交換媒体であり、国家による強制通用力を持たずとも、貨幣(通貨)に求められる機能(価値尺度機能・価値交換機能・価値保蔵機能)を高度に発揮する価値交換媒体です。
なお、評価本位貨幣は、主にインターネット上の経済活動における価値交換媒体として、従来の(中央銀行デジタル通貨、CBDCも含めて)バンクマネーや仮想通貨等の価値交換媒体に比べて優れた機能(有償・無償を問わず価値を媒介でき、価値尺度基準も制御でき、インフレ無効化機能もある)を発揮しますが、これは、特にインターネット上の経済活動に限ったものではなく、実社会における給与支払手段、支払手段、決済手段、弁済手段、納税手段、損害賠償手段、融資手段、及び投資手段等に用いることもできます。
なお、評価本位貨幣は、MMTに基づくICTプラットフォームとして、2019年にマゼル・ネットにも掲載する特許出願明細書「価値交換媒体の単位交換価値を制御するためのシステム、プログラム、情報処理装置、及び方法」 において世界で初めて公開されました。
1-6-2,評価本位貨幣の特徴
評価本位貨幣の特徴は、インターネット上における価値交換領域(第1ネットワーク) に流通させる第1価値交換媒体と、実社会におけるノード間のブロックチェーン・ネットワーク(第2ネットワーク)に流通させる第2価値交換媒体とを一体として流通させて、1つの価値交換媒体として機能させた点にあります。
過去5000年以上に及ぶ人類の貨幣史を鑑みるに、様々な時と場所においてそれぞれに価値交換媒体としての貨幣が用いられていたわけですが、それぞれの貨幣には、流通させるにおいて良い面も悪い面もありました。
現代における、強制通用力に基づく法定通貨も、ブロックチェーンの信頼に基づく仮想通貨も、ペッグ対象資産の信認性に基づくICO等によるステーブルコインも、研究が進む中央銀行デジタル通貨(CBDC)も、近代の金本位制も同様です。
評価本位貨幣は、これら様々な貨幣の良い面と悪い面とを分解して、そこから悪い面を排除して良い面だけを取り出し、取り出した複数の良い面だけを一体的に機能させるためのアルゴリズムが発明されたことによって誕生しました。
すなわち、矛盾する複数の命題を同時に成立させるアルゴリズムの存在こそが、評価本位貨幣の核心であり、特徴です。
1-6-3,評価本位貨幣の種類
評価本位貨幣の種類は、大きく分けると2種類あります。
一つは、ICOにより、従来の(例えば、リブラのような)仮想通貨の一種であるステーブルコインを進化させるように、バンクマネーとしての信用創造(貨幣創造)機能を持たせることなく、自律的に価値尺度機能が発揮されながら自己増殖するニュメレール財としてのステーブルコインとして評価本位貨幣を流通させる態様(ステーブルコインモデル)です。
ステーブルコインモデルは、いわゆる「プラットフォーマー」と称される事業者としての役割を発行主体が有した、ビジネスモデルとしての側面の強いモデルです。
ステーブルコインモデルは、社会(経済)に対して提供される一種のサービスとして構成されます。
一つは、信用発行(信用創造/貨幣創造)により、従来の(例えば、円や米ドルのような)バンクマネーを進化させるように、自律的に価値尺度基準機能が発揮されながらインフレ耐性が備えられたニュメレール財としてのバンクマネー(信用貨幣)として評価本位貨幣を流通させる態様(バンクマネーモデル)です。
バンクマネーモデルは、いわゆる「インフラ」と称される社会基盤としての役割を発行主体が有した、ソーシャルモデルとしての側面の強いモデルです。
バンクマネーモデルは、人々に対して提供される一種のインフラとして、社会基盤そのものとして構成されます。
なお、本モデルが提供される場合の提供主体(発行主体)は、従来の法定通貨の発行主体である中央銀行等が想定されます。
この場合には、評価本位貨幣は、現在、各国中央銀行等において研究が進められている「CBDC」(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)に応用できます。
それぞれに進められている技術が融合され、明るい未来の基盤技術にまで昇華されることを願います。
1-6-4,評価本位貨幣の仕組み
評価本位貨幣の仕組みについて、次にポイントを列挙します。
- ネットワーク(市中)への通貨供給は、ブロックチェーン・ネットワーク側(第2ネットワーク)への第2価値交換媒体の新規発行により行われる。すなわち、インターヴァース
側(第1ネットワーク)への第1価値交換媒体の直接的な通貨供給は行われない。
通貨供給手段は次のとおりである。
⑴ICO
⑵信用発行(信用創造/貨幣創造)
⑶スマートコントラクトによる自律的な新規発行(新規消却も含む)
※ここで、⑶が重要であり、この機能により、第2価値交換媒体は第1価値交換媒体に購買力が接続される。以降2から5に要点を列挙する。 - 第2ネットワークに供給され流通する第2価値交換媒体は、第1ネットワークにおいて用いられる場合に、サーバの交換所機能(Currency exchange and issue / cancellation process)によって第1価値交換媒体に変容する。すなわち、インターヴァース(第1ネットワーク)においては、第2価値交換媒体を直接的に流通させるわけではなく、第1価値交換媒体のみを流通させる。
- サーバは、第2価値交換媒体を譲受して第1価値交換媒体を新規発行し、第2価値交換媒体を譲渡して第1価値交換媒体を消却(帳消し)する。
ここでサーバは、ユーザの希望交換率から交換比率(相場交換率)を算出し、当該相場交換率でユーザの交換要求を約定させる。 - スマートコントラクトは、サーバから相場交換率を取得し、所定条件下で第2価値交換媒体の新規発行(又は消却)を要求するトランザクションを生成する。
- サーバは、第2価値交換媒体の増加数量(又は減少数量)に基づき、ユーザの希望交換率を修正する。
- サーバは、第1ネットワークにおけるユーザの第1経済活動を監視し、ユーザ端末の動作状態、及び記憶部の第1経済活動基礎点数に基づき、ユーザ間で提供及び取得される無償価値の評価点数を記録する。
- サーバは、第1ネットワークにおけるユーザの第2経済活動によるプル型、又はプッシュ型等の有償消費価値の取得行為に係る第1価値交換媒体の消費数量を含む情報を記憶部に記録する。
- サーバは、上記6及び7から無償価値に係る評価値を算出し、当該評価値に応じた第1価値交換媒体を無償価値の提供者に新規発行する。
このとき、算出される評価値には、無償価値取得者に係る購買力が反映される。 - サーバは、時間の経過により第1価値交換媒体を消却する。
非常に簡単にまとめましたが、要点としては、ICOによるステーブルコインとして、又は信用創造によるCBDCとして市中に供給される第2価値交換媒体としての評価本位貨幣は、従来のステーブルコインや金本位貨幣のように、法定通貨や金等の外部資産に購買力の源泉を依存しているわけではなく、自らが構築するICTプラットフォームの一部である第1ネットワークにおける第1価値交換媒体に購買力の源泉を置いています。
すなわち、「仮想通貨には中身がないから通貨になり得ない」と言われて久しいですが、本アルゴリズムを用いることによって、第1ネットワークにおけるユーザの第1経済活動(贈与性の価値交換行為)において生じる経済価値を、ICOによるステーブルコインとして、又は信用創造によるCBDCとして市中に供給される第2価値交換媒体に本位させることができるものです。
ゆえに、評価本位貨幣と称する次第であり、このように、購買力の源泉を無限に本位させられる評価本位貨幣は、矛盾する複数の命題を同時に成立させる究極の通貨であると言えるでしょう。
1-7,ICTアルゴリズムの概念図
1-8,ICTアルゴリズムの特徴
- 構築するICTプラットフォームを通じて発行する価値交換媒体(通貨)に、評価に基づく経済価値(購買力 )を本位させることに成功しました
- 通貨の単位あたりに本位させる経済価値(購買力)の大きさを制御することで、価値の尺度を図る基準(価格の度量標準)を制御(安定化も含む)することに成功しました
- ユーザ間において無償で提供及び取得される価値に含まれる経済価値を定量化し、当該定量化された経済価値から購買力の源泉を生じさせる通貨を生成及び流通させることに成功しました
- 複数の国家にまたがる広域経済圏にあって、個別の市場(それぞれの国土)における物価と、広域経済圏全体を通しての通貨価値(価格の度量標準)とを、完全に分離して制御することに成功しました
- 購買力や経済状況等の異なる地域(複数の国土)をまたいで単一の通貨を流通させる場合に生じていた課題を解消することに成功しました
- 通貨流通速度を向上し、退蔵貨幣を減少させることに成功しました
- 時間と共に増大し続ける政府債務や個人債務等の負債の大きさを任意に減少させることを可能にしながらも、同時に、流通する貨幣全体の経済価値量(購買力の総量・資産の総量)を維持させることに成功しました
- ユーザに対して、通貨を獲得しようとするインセンティブを減少させることなく、通貨を使用(消費)しようとするインセンティブを増加させることに成功しました
- ジャーナリスト等によるジャーナリズムと、事業者等による広告宣伝活動やデータ収集活動とを、経済価値の相関性としては一体的に機能させながらも、関係性は完全に分離して機能させることに成功し、真のジャーナリズムを実現させることに成功しました(※ジャーナリズムについての説明箇所を参照)
- 「g(グロース)」>「r(リターン)」を実現させることに成功しました
1-9,ICTアルゴリズムによる効果
1-9-1,金融包摂
ネットワークに接続されたデバイスのあるところすべてにおいて、人々に対して、それぞれに大きな負担を強いることなく、先進国の国民も発展途上国の国民も等しく、有償・無償を問わず経済活動(価値交換活動)に参加できる環境、及び保険や融資や投資等を含む金融サービスを受ける環境を提供できるようになります。
1-9-2,データサイエンス
従来のように各々のIT事業者によって無駄に分散して寡占されることなく、構築するICTプラットフォームに集約して蓄積されるビッグデータを、ユーザ(IT事業者や研究機関等を含む事業者)に対して有償提供することができるようになり、蓄積されるビッグデータが公共の財産として広く社会に還元されるようになるとともに、社会に対してデータサイエンスの基盤を提供できるようになります。
1-9-3,格差是正
富の大きさ(すなわち貨幣の数量で表される蓄積された購買力の量)と、負債の大きさ(すなわち貨幣の数量で表される借用された購買力の量)とのバランスを制御できるようになり、貧富の差を減少させることができるようになります。この点、例えば、退蔵貨幣に対して実質的な資産課税を課し、他方で購買力に対して実質的な補助金を支給することもできるようになります。社会全体として富を増加させながら、同時に、相対的に生じる貧困を減少させることができるようになります。
評価本位貨幣は、その構成から、従来の貨幣に最初から備わってしまっている「富から富を生じさせ、負債から負債を生じさせる」、及び「貨幣量で表せられない価値を媒介できない」という致命的な欠陥を解消しました。
1-9-4,イノベーション
ユーザ(経済主体)間において、無償で提供され取得される価値の質と量が増加することから、価値の交換総量が増加し、新たな価値(新結合)が生じやすくなります。人々は、より大きな価値を他者に無償で提供するようになり、他方で人々は、より大きな価値を他者から無償で取得できるようになり、社会に創造される価値そのものが増加するサイクルが生じやすくなります。
イノベーションは、シュンペーターの言うところの「新結合による経済発展の原動力」です。
評価本位貨幣は、その構成要件から、イノベーションの基礎たる新結合が社会に生じやすい環境を提供します。
1-9-5,経済成長
事業者や個人の別に限らず、細分化された価値(特に、常に創造され続ける知的創作物)を負荷なく有償交換できるようになることから、販売及び購買活動が盛んになります。すなわち、従来、経済価値として扱われていなかったような、人々から湧き上がり続ける細かな価値についても経済価値としてユーザ間を流通するようになります。
1-9-6,インターヴァース
完全オープンなインターネットの中にあって、半クローズドな、インターカレンシーの流通する有償・無償を問わない価値交換領域(原則としてユーザ認証が必要とされる情報流通レイヤー)が誕生し、世界は秩序ある状態で広く深くつながるようになります。言わば、グローカル な巨大サイバースペースとしての市場がインターネット上に誕生します。インターヴァースでは、都市部のユーザも、地方部のユーザも、国も、経済差も、属性も、文化の違いも超えて、人々は等しく創出される価値に接するようになり、そして互いに価値を交換し合うようになることでしょう。
なお、インターヴァースにVR(Virtual Reality)テクノロジーを組み合わせると、いつかに夢見た、小説の中にあった「メタヴァース 」の世界が現実のものとなります。
1-9-7,従来金融システムとの統合
構築するICTプラットフォームには、通貨の信用発行機能(融資や国債引受等による通貨の新規発行機能・信用創造/貨幣創造機能)を備えることができることから、従来の中央銀行を中核とする管理通貨システムに本発明を組み込んで運用する(従来の金融システムを進化させる)ことができるようになります。
1-9-8,個別マクロ経済・金融政策
構築するICTプラットフォームとしての統一通貨(国際通貨)を用いる広域経済圏の一部の経済圏である国家の主権として、各国政府の国債発行等に係る財政政策と、各国中央銀行を中核とする国内市中銀行の融資等に係る金融政策とを、広域経済圏の一部であって、各国政府及び中央銀行が独立して物価コントロールや景気コントロール等の政策を任意に実行することができるようになります。
1-9-9,シニョリッジの帰属先
運営主体は、構築するICTプラットフォームから送金手数料や発行する2種類の通貨の交換機能におけるスプレッド利益を、ユーザが負担を感じることなく低負荷で回収できることから、シニョリッジ 、及び外部予算を必要とせず運営することができるため、通貨の信用発行権は、構築するICTプラットフォームに参加する各国中央銀行に委譲することができます。これにより、各国中央銀行の独立性を保ちながら、併せてシニョリッジ も各国中央銀行に帰属させることができるようになります。
1-10,発明のポイントについて
1-10-1,優位性を合体させるアルゴリズムを発明したこと
インターカレンシーは、大まかに説明すると、金やコメ等の商品貨幣としての価値尺度財(ニュメレール財)の優位性と、手形や貸し借り等の決済手段としての信用貨幣の優位性と、市中への信用創造(貨幣創造)手段としてのバンクマネーの優位性とを、すべて有したまま、これら3つに内在する問題点を、それぞれの機能によって打ち消し、課題を解消させている点に特徴がある貨幣です。
つまり、インターカレンシーは、矛盾している複数の命題を同時に成立させることのできるアルゴリズムを有した貨幣であると言えます。
ここで、当該アルゴリズムの特徴を次に簡単に説明します。
- 1種類の貨幣でアルゴリズムを完成させるのではなく、実社会においてブロックチェーン・ネットワークを用いて流通するバンクマネー型インターカレンシー(A)と、インターヴァースにおいてサーバクライアント・ネットワークを用いて流通するニュメレール財としての信用貨幣型インターカレンシー(B)とを一体的に流通させて、これら2つ(A+B)の価値交換媒体で1つの貨幣(C)としての機能を確立している。
- (A)と、(B)とは、それぞれ単独で貨幣の機能を発揮させるものではなく、これらを一体として機能させることによって(C)としての機能を最大化させるようにしている。
- 価値尺度機能は(B)が特化して担い、価値保蔵機能は(A)が特化して担い、決済機能は、(A)も(B)も担うことができるようにしている。
- (A)の流通量と、(B)の流通量とは、まったく異なっても問題ない。※例えば、(A)が100万単位流通しているときに、(B)が1万単位流通している状態はありえ、この場合においても、(A)は、いつでも・どこでも・どれだけでも、任意に(B)に変容することができるわけであるから、(A)の本源的価値は(B)にあるとなる。
- (A)の単位交換価値が、(B)の単位交換価値に均衡するように、(A)の機能によって自らの数量が自律的に増加(又は減少)する。※これにより、(B)の機能によって貨幣価値を減価させても、(A)全体の実質購買力は維持されることとなる。すなわち、従来のインフレという概念が根本から変わることとなる。
ごく簡単に表現しましたが、すなわち、2種類の貨幣が有する優位性のいいとこどりを可能にするアルゴリズムを発明して、これらを合体させて究極の貨幣を誕生させた、と言えるでしょう。
1-10-2,共同体内部における贈与性の価値交換における経済価値量を定量化するアルゴリズムを発明したこと
インターカレンシーの価値は、共同体内部、すなわちインターヴァースにおける贈与性の価値交換(例えば、記事等の創作物を無償で提供し、また無償で取得する行為)における取得者に生じる本来的な債務の大きさと、提供者に生じる本来的な債権の大きさとに基づいて定量化させています。
このとき、無償で提供される創作物の取得者に生じる債務は、別の経済主体によって弁済される形で、当該別の経済主体に譲渡されます。
そして、無償で取得される創作物の提供者に生じる債権は、当該別の経済主体によって弁済された経済価値(消費されたインターカレンシー)を用いて、決済されるように当該創作物の提供者にインターカレンシーが発行されることで消滅します。
つまり、共同体内における贈与性の価値交換で生じた負債が決済されるように、インターカレンシーが債権者に与えられます。なお、インターヴァースは、国家等の主体群が複数内在されることを前提にしていることから、主体群それぞれの購買力差を反映させる決済アルゴリズムも働いています。
換言すると、古来、人類は、貨幣を用いることなく(まだ発明されていないので当然ですが)共同体を構成しており、この過程において共生本能を発達させ、言語、数、文字、貨幣と、コミュニケーション技術を進化させてきたとされています。すなわち「ICT」(Information Communication Technology)です。
このように、貨幣の役割を情報技術の進化の側面から把握しようとするとき、「貨幣とは何か?」という、経済学の永らくの問いに対して、「債務の記録の主体間における共有の結果としての債権の象徴」ということが言え、これが貨幣となり、信用貨幣となり、現代のバンクマネーになっているという、一つの系譜が把握できます。
しかしながら、今でも、我々は「金」に財産(債権の象徴)としての魅力を感じ、「金」(そのほか、銀や銅等の鉱物資源も含む)が貨幣であるかのような錯覚に陥り、事を正しく認識できていないように思うことがあります。結局のところは、「金」等の財は、信用貨幣に価値尺度機能が内在されていないがゆえに、時代の変動期や、価値感覚の異なる(文化や言語の異なる)共同体間の取引において、価値尺度財(ニュメレール財)として機能するにすぎない(機能しやすい)ことを把握する必要があります。
そして、「鉱物貨幣は現代に残りやすく(考古学的に発見されやすく)、信用貨幣(特に帳簿)は朽ちてなくなりやすい(考古学的に発見されない)」ことも把握しておく必要があるでしょう。
すこし話が大きくなりすぎてしまいましたが、要するに、贈与性の価値交換における経済価値の定量化アルゴリズムというのは、古来、人類が共同体内で自然と行っていたであろう、共生本能に基づく負債の決済処理をイメージするとわかりやすく、決済の結果としての象徴的な「何か」が貨幣に進化したと解釈すると、本発明のポイントが見えてくるように思います。
2,貨幣、及び経済の真の姿に迫る価値交換媒体について
価値尺度を図る基準となる機能(価値尺度基準機能)を自ら発揮し、経済価値が評価に基づく購買力に本位する無限に信用創造可能な本位貨幣、評価本位貨幣・インターカレンシーとは?
価値尺度財(ニュメレール財)としての本位貨幣であって信用貨幣とはいったい?
2-1,貨幣の機能とは「価値尺度・価値媒介・価値保蔵」
貨幣は、一般的に、
- 価値尺度機能
(価値の尺度を図る基準としての機能) - 価値交換機能※決済機能
(価値の移転を媒介する機能) - 価値保蔵機能
(時間を超えて購買力を保持する機能)
の3つの機能(価値尺度・価値媒介・価値保蔵)の発揮により成立するとされています。
すなわち、金やコメ等の価値尺度材(ニュメレール財)であり、手形や貝殻等の信用貨幣であり、今日のバンクマネーです。
以下に、「ニュメレール財」、「信用貨幣」、及び「バンクマネー」それぞれの視点からの評価本位貨幣の特徴と共に、併せてステーブルコインとの違いについても説明します。
2-2,価値交換時における購買力(経済価値)を有した価値の尺度を図る基準となる財【価値尺度財(ニュメレール財)】
貨幣とは、物々交換を便利にするための手段として誕生した、というようなことが言われることがありますが、これは一つの側面であって、ワルラスの言うところの「ニュメレール財」として金や銀等の商品貨幣が価値交換媒体として機能していたにすぎません。
また、日本では、「コメ」が価値交換媒体として用いられていたことがあるように、ニュメレール財とは、人々が価値を交換する活動、すなわち経済活動を行う上で、経済主体間の尺度となり得る媒介手段として、ある財を使用する頻度が高くなった際の当該財を指しているにすぎません。
つまり、ニュメレール財は、はっきり言ってなんでもよく、その時代、その場所ごとに適当な財が用いられ、人々は、これをもって「貨幣は価値の交換活動から生まれた」と、間違えた解釈をしていることもあるようです。
しかしながら、ニュメレール財が貨幣として機能していた時代及び場所があったように、また、現代においても、つい最近までは「金本位制 」が採用されていたように、ニュメレール財を貨幣として機能させる場合のメリットはあった、ということになります。
すなわち、商品貨幣(本位貨幣 )であることによる、それそのものに備わっている商品としての価値(その他の価値に交換できる購買力の源泉)の存在です。これにより、ニュメレール財は価値の尺度を図る手段として最適な財が用いられ、人々の間で価値尺度は安定して発揮されていたということになります。
特に、文化や言語や価値観等の異なるような共同体をまたがる態様の価値の交換がある場合には、近代までは、当然と言えば当然ですが、必ずと言っていいほど、信用貨幣が用いられることはなく、金等の商品貨幣が価値交換媒体として用いられていました。
ただ、以上のようなニュメレール財にも大きな問題があり、それは、時代や場所ごとにニュメレール財として機能を発揮する商品貨幣が異なっている、ということからもわかるように、数量が限られている商品貨幣にあっては、流通総量、すなわち交換される価値の総量が増加した際に、商品貨幣が不足したり、逆に、何らかの事情により商品貨幣の量が増加した際に、商品貨幣が余ったりすることによる価値尺度の基準(価格の度量標準)の変動があったようです。
以上を鑑みるに、ブロックチェーン・ネットワークに流通する第2価値交換媒体としてのインターカレンシーは、いつでも・どこでも・どれだけでも任意に(言わば、無限、且つ自由に)第1価値交換媒体としてのインターカレンシー(インターヴァースにおける通貨)に交換(換言すると「変容」)でき、インターヴァースにおいて、その他の価値に交換できることはもとより、最終的には、第2経済活動(有償消費価値の取得行為)によって消費消却され、アルゴリズムによって評価に本位して評価発行されることから、価値が評価に本位する中身の詰まった(すなわち購買力としての商品価値を有する)ニュメレール財であると言えます。
また、インターカレンシーがニュメレール財としての側面を有しているからといって、流通総量、すなわち交換される価値の総量が増加した際にインターカレンシーが不足することはなく、他方で、第2価値交換媒体としてのインターカレンシーの量が増加した際に、第1価値交換媒体としてのインターカレンシーが余ったりすることもなく、インターカレンシーは、通貨流通量の変動により価値尺度の基準(価格の度量標準)に変動が生じない(通貨流通量に関わらず価格の度量標準を能動的に制御できる)特徴を有したニュメレール財であると言えます。
なお、「仮想通貨(暗号資産)には中身がないから通貨になりえない」とよく聞きますが、本発明によって、この定説は覆されたものと存じます。この点、法定通貨としてのバンクマネーもまた、「中身があるわけではない」、ということを申し添えさせていただきます。
2-3,貸しと借りの決済手段としての【信用貨幣】
人類は、共生型の生物として進化しました。
人類は、長い進化の過程で、生きるために共同体を形成し、群と個の相関性を確立し、そして相関性を高度化させてきました。個は、群における役割の中で個を確立し、群もまた、個の役割の集合体として群を確立し、個と個はつながり、これらは一体として機能をはたしてきました。そうして、コミュニティーが形成され、コミュニケーションの必要性から、言語が誕生し、数が誕生し、文字が誕生しました。価値交換の誕生と、情報交換の誕生です。
価値は、一方から一方に移転し、ここに貸し(債権)と借り(債務)が発生し、群における個の貸しと借りの記録と共有の必要性が生じました。すなわち、負債の記録です。
負債は、コミュニティーにおいて時間を超えて共有され、他方で負債の決済手段としての資産を生じさせました。そうして、人々は、負債の帳消しに利用することのできる当該資産の保有量を競い合うようになります。すなわち、信用貨幣の誕生です。これが貨幣の起源とされています。遥か昔、5000年以上も前の出来事です。
現代においても、信用貨幣システムは様々な場面で機能しています。詳細は割愛させていただきますが、掛けであり、手形であり、質であり、約束であり、貸し借りなどです。特に、日本においても山村部や漁村部等の集落では、金融システムの発達した今日においてでも、バンクマネーシステムのみに依存することなく、昔からの信用貨幣システムによって時間を超えた価値の交換を行うケースも多くあります。
なお、心理学からのアプローチによっては、人類には、大小の差はあれど、「負債感情」という機能があって、他者の属性、及び他者の行為から、人類の脳には、出来事、及び対象毎の負債の大きさが記録されるようです。
このように、貸しと借りの記録と共有は、人類の進化の過程で生じた基礎的機能であると言えます。
翻って、第1価値交換媒体としてのインターカレンシーは、貨幣を介在させない債務と債権の交換行為である贈与性の価値交換、すなわち無償の価値提供、及び取得行為から、そこで生じた債務と債権の経済的度量を定量化し、当該定量化された経済価値を基礎にして新規発行数量を決定しています。つまり、第1価値交換媒体としてのインターカレンシーは、インターヴァースにおけるユーザの貨幣の移転を伴わない貸しと借りを記録し、これを決済するように債権者に対して信用貨幣として発行されるようになっています。
簡単ですが、以上のようなことをもって、インターカレンシーとは、評価本位貨幣であるとしています。
2-4,信用創造(貨幣創造)による【バンクマネー】
現代貨幣システム(管理通貨制度) の根幹は、中央銀行に属する市中銀行が行う融資等の預金創造から始まる「信用創造(貨幣創造)システム」にあります。よく間違えた解釈として、「銀行は集めた預金を使って融資を行う」と言われることがありますが、実際は逆で、「銀行は預金通帳に数字を書き込むことで融資を行い、返済されると数字を消し込み、その結果として残存する数字が預金になる」ということがあります。
これは、非常によくできたシステムで、例えば、市中に流通する貨幣量を増やしたい局面(景気後退局面等)にあっては、中央銀行は金利を下げて、買いオペレーション を行い、市中銀行による融資等の増加を促すことによって預金数量としての貨幣量を増加させることができ、他方で、市中に流通する貨幣量を減らしたい局面(景気過熱局面等)にあっては、中央銀行は金利を上げて、売りオペレーション を行い、市中銀行による融資等の減少を促すことによって預金数量としての貨幣量を減少させることもできるということがあります。
そもそもとして、市中銀行は、お金(貨幣)を持たない個人や事業者等に対して、対象から「返済されるだろう」という「信用」だけで、預金を生成、すなわち貨幣を新規発行して、対象に貸し出し、そして貨幣を貸し出される対象としては、他の個人や事業者から有償価値を購入し、対価として市中銀行から貸し出された貨幣を支払う(つまり市中銀行から貸し出された預金は販売者の預金となる)わけですから、社会における有償価値の価値交換媒体として、これほど単純で合理的な方法はほかに思いつきません。
しかしながら、そうすると、現代貨幣(バンクマネー)にとって、ニュメレール財にあったような購買力としての価値の根拠(その他の価値に交換できる根拠)は、いったいどこにあるのだろう?ということになろうかと思います。この点、これといったシッカリとした説明はどこにもありませんが、よくある話としては、「税金の支払いに充てることができるから価値がある」というものがあります。つまり、「強制通用力」 の話です。
国家では、「給与支払い手段」、「モノやサービスの購入時における支払い手段」、「各種保険料の支払い手段」、「賠償金の支払い手段」、及び「税金の支払い手段」を、指定する貨幣に限定する法律を施行し、これに人々が応じない場合には刑罰を用意していることがあります。つまり、「法定通貨」です。
勘の鋭い方は、もうすでに何がどうなっているかお分かりになっているでしょうが、つまりは、グローバル化した現代においては、国家をまたぐ経済活動が盛んに行われており、さらにはインターネットの普及もあり、今後ますます経済がグローバル化していく中にあって、上記のような国家だけの「強制通用力」 が相対的に脆弱なものになっていることがあります。特に、経済規模の小さな国家にあっては、当該国家の法定通貨が弱い立場に追いやられてしまっており、容易に金融危機が生じるようになっており、人々の経済活動を支えるための金融システムであるにもかかわらず、逆に、人々の経済活動はもとより、人々の生命や財産にまで悪影響を及ぼしかねない状況が生じてきています。
そして他方で覇権主義や保護主義があります。すでに世界は金融システムを含む情報システムの進歩によって、昔のような境界はなくなっています。そうした中で、大国の動向による経済変動はより大きくなっており、大国はより大きく、小国は団結して飲み込まれないように必死さを呈してきています。
EUという、近代における一つの壮大なプロジェクトも先行きが不透明になってきており、その原因にも、時代と状況に即していない従来の金融システムがあるとされています。
すなわち、極めて優れた信用創造システムにあって、それを成り立たせている根拠が「国家(のみ)における指定する貨幣の強制通用力 」という、極めて原始的な制度であることは、よくよく考えると大きな違和感を覚えるとともに、早急に何とかしなければ未来は暗い、と思わざるを得ません。
インターカレンシーは、信用創造システムによるバンクマネーを否定して考案したわけではありません。むしろ、信用創造システムの優れた機能は認めつつ、脆弱な部分のみに特化して考案した経緯があります。そうしたことから、インターカレンシーは、従来の課題が解消された、社会における純粋な本位貨幣としてのニュメレール財として機能を発揮することもできますし、純粋な本位貨幣としてのバンクマネーとして機能を発揮することもできますし、これらの混成として、より戦略的な本位貨幣としての価値交換媒体として機能を発揮することもできるようになっています。
すなわち、インターカレンシーとは、本位貨幣としてのバンクマネーであって、且つニュメレール財でもあると言えます。
2-5,金に価値の根源を置いた金本位制【本位貨幣】
おそらくは、この制度(金本位制 )の存在が、世間一般の貨幣に対する理解を複雑にしているように思っていることがあります。
(金本位制 (を含む貨幣史)の詳細についてお知りになりたい場合は、世間一般に広く解説書が出回っていますので、そちらをご参考にしていただきたく存じます。)
翻って、インターカレンシーもまた、本位貨幣 です。ただ、従来の金本位貨幣のように矛盾を有する貨幣ではありません。
インターカレンシーは、第2価値交換媒体という、ブロックチェーン・ネットワーク上に流通する、言わば「中身のないバンクマネー」に、第1価値交換媒体という、サーバクライアント・ネットワーク上に流通する、言わば「中身が詰まった金のような、人々が無限に生成する活動エネルギー」を本位させた貨幣です。
そして、発明されたアルゴリズムによって、【言わば「中身のないバンクマネー」】が、いくら膨大に流通量を増加させようとも、【言わば「中身が詰まった金のような、人々が無限に生成する活動エネルギー」】は、常に価値の根拠を、膨大に増加するバンクマネーに与え続けることができるようになっています。
これは、インターヴァースにおいて無限に金が生成され続けながら、同時に、生成された金が消滅し続けている状態をイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。若しくは、生態系 におけるエネルギーの循環プロセスをイメージされてもよいかもしれません。
非常に簡単に表現いたしましたが、要は、インターカレンシーは、「原始の時代より、人々が共同体において無限と言えるほどに生成し続けてきた生命活動エネルギーに価値の根源を置いている」ということであり、このことをもって、「評価本位貨幣」と称しているものです。
2-6,貨幣機能のまとめ
ニュメレール財は、中身がしっかりと詰まっていますが、バンクマネーのように負荷なく無限に生み出すことはできませんでした。
バンクマネーは、負荷なく無限に生み出すことができますが、ニュメレール財のように中身があるわけではありませんでした。
本位貨幣もまた、貨幣需要の変動に耐えうるだけの本位対象資産が存在しませんでした。
これらの貨幣は、それぞれ良いところも悪いところもあり、いいとこどりの貨幣など、あり得るはずもなく、先人は、バンクマネーに「強制通用力」を持たせて、「法定通貨」を考案し、これが現代の金融システムの祖であるとされています。すなわち、イングランド銀行 です。
なお、現代における金融システムは、これに国際的な変動相場制による為替のメカニズムが組み合わせられることで通貨の機能を外生的に発揮するように出来ています。
評価本位貨幣インターカレンシーは、ニュメレール財として中身があり、且つ信用貨幣として中身の大きさを制御することのできる貨幣であって、さらに、バンクマネーとして負荷なく無限に生み出すことのできる貨幣であって、これら矛盾する複数の命題を同時に成立させるフィンテックアルゴリズムの発明によって誕生しました。
すなわち、インターカレンシーとは、過去5000年以上にわたり人類が進化させてきた貨幣の未来の姿であって、且つ貨幣の本来の姿であると言えるでしょう。
このように、インターカレンシーは、インターネットの発明に続くブロックチェーンの発明を踏襲して誕生したICTプラットフォームそのものであり、価値の度量衡としての機能をも発揮する通貨となります。
翻って、先日、Facebookによって発表されたリブラ(Libra) のような従来のステーブルコインでは、以上のような観点から鑑みるに、ニュメレール財と言えるものでもなく、また信用貨幣と言えるものでもなく、さらには本位貨幣でもなくバンクマネーとしての機能を果たすこともできず、経済を支える基盤たる価値交換媒体としては極めて未熟なものと言えるでしょう。しかしながら、そのような未熟な価値交換媒体の存在に影響を与えられかねない従来の金融システム(管理通貨制度 )もまた、脆弱なものであると言えるでしょう。
2-7,貨幣の本質/経済価値とはなにか?(1)~(5)
2-7-1,(1)生存本能に由来する負債感情と共同体
人類の有する本能としての最大の目的は、「生きること」(又は死なないこと)とされています。
古来より、人々は、生きるために「日常を生きていた」と言えるでしょう。
人々は、生きるため(死なないため)に集団を形成して、そこに共同体を生じさせ、コミュニケーション技術(ICT)を発達させていきました。
現代において、インターネットと、IoTデバイスとの存在によって「ICTプラットフォーム」が誕生したかように私たちは考えているのかもしれませんが、本質的には、数万年(又は数十万年)前から「ICTプラットフォーム」は存在していた、と解釈できます。
すなわち、「ICTプラットフォーム」とは、「人々が生きるために生じた共同体としての仕組み」と言えるでしょう。
人々は、共同体の中において暮らし、それぞれに求められる役割を果たすことで、共同体の一部を構成しました。例えば、狩猟や採集や漁や農耕等に係る様々な役割を人々は担いました。
すなわち、共同体の中において、生産物等の「価値」は人々の間で交換(流通)していた、ということです。ここで「価値」とは、例えば食事の席にならぶ肉料理であり、肉を料理するための調理であり、調理するための食材と調理用具であり、食材にするための狩りで獲ってきたシカであり、シカを獲るための道具であり、道具や調理用具を作るための技術や原材料であり、原材料を採掘するための労働であり、このような「価値」が、共同体の中において様々な場面で登場するようになり、人々の間で一種のエコシステムが構築され、「価値」の存在が人々に認知(可視化)されるようになりました。
つまり、生きるために人々は共同体を構成するようになり、ICTを発達させ、役割の中で「価値」の存在に気づき、日常を生きていた、ということです。
こうして、人々は、人々から「価値」を見出され、また人々に対して「価値」を見出すようになり、人々の有する役割は、すべてが「価値化」されていくようになります。
ここで、現代に生きる私たちが気にしておかなければならないことは、「まだ数は発明されていない」ということと、「貨幣も存在していなければ給料という概念も存在していない」ということです。すべては、役割から生じる「価値」の循環のみであって、言わば「生態系」のようなシステムが、この時点でのエコシステムであったということです。
すなわち、初期の共同体は、「共産制」を構成しました。
翻って、「共産制」とは計画社会であり、共同体内部において与えられた役割を、それぞれの構成員が果たす、という前提のもとに成り立つシステムです。
ゆえに、原始の時代に共同体の構成員となった共同体に従属する人々は、共同体においてそれぞれの与えられた役割を果たす義務を負い、義務が果たせなければ、何かしらの「罪」を背負うことになりました。
すなわち、「債務(負債)」の誕生です。
「債務(負債)」とは、原始の時代には、「罪」と同義であったということです。
人類は、長い進化の過程において、「価値」の循環システムを誕生させ、「共産制の共同体」を誕生させ、そうして、「罪」と同義である「債務(負債)」の概念を誕生させました。
「罪」を背負った人々は、日常を生きる中において、言わば「恥の感情」や「借りの感情」や「贖罪の感情」や「恩義の感情」のようなものを背負いながら生きていたことでしょう。
また、これは逆の側面から見ても有効であり、共同体を円滑に存続・発展させようとしたとき、構成員としての従属する人々が効率的に管理される上で、役割を果たさなければ(すなわち義務を果たさなければ)、「罪」が生じる、という概念の共同体内における浸透は、とても効果的であったことでしょう。
すなわち、「負債感情」の誕生です。
人類は、数万年の長きにわたり「負債感情」の概念に支配されながら暮らしてきたと言えるでしょう。
そして人類は、このような機能を身に着けることによって絶滅することなく、後に他の生命体を支配し、そうして現代に至りました。
2-7-2,(2)貨幣量で表される債務量と決済手段としての貨幣
「罪」、すなわち「負債感情」は誰も背負いたくありません。
しかしながら、共同体に従属する人々にとってみると、常に義務が果たせるというわけではなく、時には、与えられた役割を果たすことができない場面も生じました。
体調が悪くなる時もあったでしょうし、運の悪い時もあったでしょうし、他人に陥れられるときもあったでしょうし、他人を殺してしまうときもあったことでしょう。
結局のところ、人々は、それぞれ何かしらの「罪」を背負いながら日常を生きていたと考えられます。
そうしたところ、人々が背負う「罪」を帳消し(又は減少)するための手段が必要とされました。
逆に言えば、そうしなければ、「罪」の量は時間とともに増大し続け、最終的には「罪」がなんであって、どのくらいあったのか誰にもわからなくなってしまい、「罪」が「債務(負債)」として機能しなくなってしまい、共同体にモラルハザードが生じてしまいます。
「罪」とは、義務の不履行、すなわち債務不履行による、当事者に「負債感情」を生じさせる「債務(負債)」の発生です。
そうすると、他方に、自らの義務を超えて、他人の役割まで含めて義務を果たす者が生じてきます。
具体的に簡易な例を挙げると、シカを獲ることが役割のAさんが病気になってしまって狩りにいけないとき、シカ狩りの相棒であるBさんは危険を冒して1人で狩りに行きシカを獲ってきました。
このとき、Aさんには「借り(負債)」としての「罪」がBさんに対して生じたわけですが、反対にBさんには「貸し」としての「なにか」がAさんに対して生じたと言えます。
ここでBさんに生じることとなった「なにか」とは、「借り(負債)」の反対側に生じる「借り(負債)」そのものの帳消し手段であると言えます。
すなわち、Bさんに生じた「なにか」とは、「借り(負債)」の反対に生じる「資産(債権)」です。
Bさんは、Aさんに対する「資産(債権)」を作ったと言えるでしょう。
その他、極端な例としては、他人を殺したAAさんがいて、身内を殺された遺族BBさんがいるとき、この両者の関係も同様です。
BBさんには、AAさんの作った「借り(負債)」の反対に生じる「資産(債権)」が生じました。
すなわち、信用貨幣の誕生です。
そうして、原始の時代に貨幣の原型は誕生し、人々は貨幣の魔力にとらわれるようになり、時に「罪」を冒しても、自身が有する「信用貨幣」を相手方に差し出すことによって「罪」は帳消しされるという概念が誕生しました。
信用貨幣が「罪」を帳消しにすることができる手段とあっては、人々は、こぞって信用貨幣の獲得に精を出すようになりました。
言わば、一種の保険です。
また、人々は、「罪」を冒すことなく「借り(負債)」を生じさせて、「信用貨幣」をたくさん有する他人から「信用貨幣の借用」(すなわち借金)を行うようになりました。
このように、原始の時代における共産制の共同体といえども、「価値」の循環システムの過程において、人々に「負債」は発生し、これを決済するための手段として、人々に「資産」としての「信用貨幣」は必要不可欠なものであったと言えるでしょう。
そうして、人々は、自らが有する「罪」の大きさとしての「債務量」と、他方で自らが有する「資産」としての「債権量」、すなわち「貨幣量」を把握し、共同体において人々の間で共有するようになっていきました。
なお、当時には、まだ、現代における「破産処理」のような、いわゆる「債務の消滅処理」は誕生していませんでしたので、そういう意味においては、「貸しである貨幣」は、生き続けるために必要なものであり、他方で「罪である債務」は、増大すると生命を脅かす危険な存在だったことでしょう。
すなわち、奴隷の誕生です。
奴隷とは、貨幣の反対に生じた債務の最終弁済手段であり、このことからわかるように、奴隷とは、信用貨幣の反対に生じる貨幣が変容した一形態であったと言えるでしょう。
誤解を恐れずに一言で表すと、「奴隷とは貨幣であり、貨幣とは奴隷であった」と言えるでしょう。
2-7-3,(3)貨幣量で表される債権量と購買力の大きさ
共同体に存在する債権の大きさとは、人々が有する信用貨幣の大きさの総量です。
他方で、共同体に存在する債務の大きさもまた、人々が有する「罪」の大きさの総量です。
相殺すると、すなわち「ゼロ」です。
また、破産処理の存在しない原始の時代において、人々に生じる「罪」は「信用貨幣」以外の手段をもって消滅することはないため、奴隷制が誕生しました。
すなわち、奴隷とは貨幣の一種であり、所有者の労働力としての財産であり、奴隷による労働の結果として得られる資産もまた、所有者の財産になりました。
人々は、「罪」を背負って自らが奴隷になる、又は子供等の血縁者を奴隷に取られるという悲惨な環境が共同体に整備され、そこに貧富の差が誕生しました。
すなわち、信用貨幣や奴隷を多く所有する者は、それらを使って(信用貨幣を支払対価に、又は奴隷を使役し)共同体で流通する「価値」を多く取得し、他方で信用貨幣や奴隷を所有しない者(若しくは奴隷)は、自らの身体を使って共同体で流通する「価値」を生産しました。
貧しい人々にとっては、とても悲しい現実だったことでしょう。
貨幣の起源とは、このようにとても悲しい現実や、人々のとても大きな苦しみを伴う出来事であったということを、現代に生きる彼らの子孫である私たちは理解しておく必要があります。
つまるところ、貨幣量で表される債権量としての購買力とは、起源としては、貧しい者から「価値」を取得することのできる「力」であり、そして、この「力」は、貨幣そのものが発する魔力をより高めるための原因でもあったと言えるでしょう。
購買力とは、その他の「価値」に交換する(変容させる)ことのできる「力」ということです。
2-7-4,(4)貨幣量で表される価値の大きさ
以上から、共同体において流通する「価値」とは、人々が提供する生産価値であり、他方で人々が取得する購買価値(消費価値)であることがわかります。
そして、共同体において人々に「価値」をより多く創造させるための「罪」としての「債務(負債)」であり、他方で、人々から「価値」をより多く取得(場合によっては搾取)するための「資産」としての「信用貨幣と奴隷」であることもわかります。
そうすると、「価値」とは、単に漠然とした感覚的な大きさで表される存在ではなく、何かしら一定の基準となる単位を用いて表される定量化され得る存在ということに気づきます。
また、共同体には「価値」を循環させるためのシステムが存在し、その核心に「信用貨幣制度」と「奴隷制度」が存在していることにも気づきます。
すなわち、「数」と「貨幣単位」の誕生です。
共同体を維持・発展させるにおいて、人々は、それぞれが気ままに「信用貨幣」を発行したり、他人を暴力等によって奴隷にしたりするのではなく、人々が共通した価値感覚をもって「価値」を円滑に流通させるためにも、発行する「信用貨幣」の度量標準(価値尺度基準)が必要とされるようになりました。
共同体において共通する尺度としての貨幣が誕生したことによって、共同体に流通する「価値」の感覚的な大きさは数値として定量化されるようになり、人々は「価値」に対する値付けを行うようになり、そうして共同体という社会には、「経済」という側面が誕生しました。
このようにして、経済を構成に含める進化した共同体においては、それまで人々に与えられた義務の結果として個々に生産される漠然とした「価値」が、購買力を有する貨幣量で表される「経済価値」として生産され消費されるようになりました。
以降、共産制の共同体に流通していた「価値」は「経済価値」となり、共産制も終焉を迎え、経済において、生産され消費される「価値」の大きさは、「経済価値」の大きさとして貨幣量をもって表現されるようになりました。
これが、経済の起源です。
遥か数千年(又は数万年)前の出来事です。
2-7-5,(5)経済価値のまとめ
経済が誕生したことによって、「貨幣量で表現され得る価値=経済価値」になりました。
すなわち、経済価値とは、値段のつけられる(購買力に変容させられる)価値のことです。
では、貨幣量で表されない価値は、経済価値ではないのか?という疑問が生じます。
また、そもそも、貨幣が誕生する以前は、すべてに価値はあったのではなかったのか?という疑問も生じます。
すなわち、共同体としての社会に経済というレイヤーが誕生したことによって、「経済価値>価値」の構図が生じてしまいました。
これは、現代においても脈々と続く大いなる疑問です。
これこそが、貨幣が存在することによって何かが失われているのではないか?という、誰もが一度は感じる疑問の正体です。
すなわち、「価値=経済価値」という命題は成立するのか?
評価本位貨幣は、この命題を成立させるための取り組みという側面も有しており、一つの答えとして社会への提言になることでしょう。
2-8,貨幣の本質/共生型生命としての人類に内在する本能的エネルギー
2-8-1,共同体の誕生による役割の発生と進化
人類の歴史において貨幣の存在しない時代というものは、私たちが実感をもって想像できないくらいにとても長い期間でした。
逆に言えば、貨幣のある時代というものは、とても短く、ごく最近の時代と言えるでしょう。
すなわち、人類が共産制の共同体において生活してきた期間は、考えられないほどに長い期間でありました。
そのような環境に適応すべく、人類は長い歴史から自らのありようを進化させてきたと言えるでしょう。
現代に生きる私たちの中には、とんでもなく長い期間にわたって培われてきた当時の記録と対処手段が深く刻み込まれていると言えます。
私たちは、コミュニティーのメンバーである周りの人に無償で「価値」を提供します。
そして、私たちは、コミュニティーのメンバーから「価値」を無償で提供され取得したとき、「価値」を無償で提供してくれた人に対して「ありがとう」という気持ちを抱きます。
そこに貨幣量で表される債権と債務の関係性は生じません。
そこにあるものは、「してあげた」という内面的な社会的資産(果たした役割の価値)の自己認識(自己肯定感情)と、「してもらった」という内面的な社会的負債(果たしてもらった役割の価値)の自己認識(負債感情)になります。
私たちは、この、「内面的な社会的資産」(言わば「プラス」)と、「内面的な社会的負債」(言わば「マイナス」)とを、コミュニティーにおいてメンバー同士で共有し、総量がプラスマイナス・ゼロを基準として、各自において「プラス」と「マイナス」とを積み上げ続けています。
ときに、「プラス」が大きくなるメンバーもいるでしょうし、ときに「マイナス」が大きくなるメンバーもいるでしょうが、メンバーがコミュニティーに信認される限りにおいては、まったく問題は生じず、コミュニティーは永続的にうまく機能します。
「プラス」を積み上げたメンバーは、いつかは「マイナス」を積み上げて、「プラス」と「マイナス」とが「ゼロ」に近づくように相殺するでしょうし、逆もまた然りです。
すなわち、コミュニティーにおける総量としての「プラス」と「マイナス」とは合算すると「ゼロ」であると言えるでしょう。
そこには、メンバーそれぞれの役割に応じた「無償の価値」の流通が生じています。
そうしたところ、この本質について、原始の時代の共同体を、現代におけるコミュニティーとしてとらえた場合に、ほぼすべてが合致するであろうことに気づかされます。
すなわち、貨幣を用いない「価値」の交換がなされる現代におけるコミュニティーの態様は、原始の時代の共同体における「価値」の循環プロセスと同じであるというものです。
この見方によると、原始の時代における共同体に従属する人々は、共同体内に存在するすべての人を知っており、そして、誰が誰に対して、どのような貸しや借りが、いつどこで、何を原因として生じたかも把握しており、さらに、誰の子や孫が、又は誰の親や兄弟・姉妹が、若しくは誰の先祖が、といったように時代を超える記憶も人々の間で共有されていることになります。
なお、この見方の想定する原始の時代における共同体の規模は、現代における山村部に点在する集落よりもさらに小さい規模であり、共同体に従属する人々の関係性は、現代における姻戚関係程度に血縁性の高い構成です。
すなわち、後の時代に誕生することとなる古代から現代における貨幣を用いる有償での「経済価値」の交換プロセスから、まったくと言ってよいほどに、言わば、「こぼれ落ちて」しまった「無償での価値交換プロセス」こそが、私たちに刻み込まれている本来の「価値」の交換プロセスであると言えます。
私たちは、社会性の高い共生型の生命体です。
そのゆえんは、貨幣を発明して経済を作り上げたからではありません。
私たちは、原始の時代に、それぞれが生きるために共同体を構成し、そこでICTを発達させ、そうして「価値」を効果的に循環させるプロセスを作り上げたからこそ、社会性の高い共生型生命として現代に生き残りました。
人間の本能的な役割であり、現代に生き残った私たちに刻み込まれた「生命維持装置」は、無償の価値交換プロセスの中にこそあると言えるでしょう。
評価本位貨幣は、このように人類に深く刻み込まれた原始的生命活動メカニズムに焦点を当てて誕生した、原始であり未来でもある究極の価値交換媒体であると言えるでしょう。
3,あらゆる価値を流通させる価値交換領域について
ジャーナリズムとビッグデータを守るインターヴァース/INTERVERSE(インターバース)とはいったい?
想像の世界にあったメタバース(メタヴァース)のような、評価本位貨幣インターカレンシーの流通する価値交換領域(経済活動領域)とはどのようなものか。
3-1,インターヴァースの概要(まさにメタバース!?)
インターヴァースは完全オープンなインターネットの中にあって、基本的には、ユーザ認証をもって参加することが想定された半クローズドなサイバースペースになります。
ユーザにはウォレット(言わばインターカレンシー口座)が提供され、インターヴァースにおいて人々は、各々の意思に応じて多種多様な経済活動を行うことができるようになっています。インターヴァースにおいては、有償・無償を問わない、ありとあらゆる価値を負荷なく流通させることができるようになっており、人々は、より早く、より多く、より深く、より広く様々な価値、及び人々とつながるようになります。
インターヴァースとは、言わば、グローカル な巨大サーバースペースであり、また、VR(Virtual Reality)テクノロジーと組み合わせると、いつかに夢見た、小説の中にあった「メタバース(メタヴァース )」にもなり得る価値交換領域(経済活動領域)であると言えます。
なお、構築されるICTプラットフォームの範囲が、インターネットの範囲と同様である場合、すなわち、広域経済圏の範囲が地球規模にまで広がった場合には、インターヴァースの範囲もまた、地球規模にまで広がります。このとき人々は、距離や乱立する決済手段の呪縛から解放されて互いに創出し合う価値をストレスフリーに提供したり取得したりするようになります。そのころには、通信環境やデバイスの能力は今よりもはるかに優れたものになっているでしょうし、AIアシスタントも、文章翻訳も、今よりはるかに賢くなっていることでしょう。
ところで、インターカレンシーが2つの特徴的価値交換媒体の協働流通システムであって、第1価値交換媒体の流通する第1ネットワークと、第2価値交換媒体の流通する第2ネットワークとの一体的なアルゴリズムによって構築されるICTプラットフォームにおいて誕生することが、第1ネットワークである「インターヴァース」が誕生する原因となっています。この点、どのようにして構築されるのか、といったような詳細な仕組みの説明については、特許出願明細書 に開示していますので、内容をご確認されたい場合には、そちらをご覧ください。
つまるところ、本発明技術を用いることによって誕生する「インターカレンシー」と、「インターヴァース」とは、各所に用意する様々なアルゴリズムの連続的な一体的処理によって、それぞれ目的とする機能が発揮されるようになっており、これらは一体的に運用されてこそ、最大の効果が発揮されるようになります。
すなわち、「インターヴァース」は、「インターカレンシー」によって生み出され、且つ「インターカレンシー」は、「インターヴァース」によって生み出され、さらに、これら両者は、ICTプラットフォームに参加する人々による経済活動(有償・無償を問わない価値交換活動)によって命が吹き込まれ、そうして人々は、インターヴァースとインターカレンシーとを含む社会インフラとしてのICTプラットフォームによって活かされるようになるものです。
なお、以上のようなアルゴリズムの誕生の背景として、社会には、深層的な部分で大きな課題が生じてしまっていて、この大きな深層的課題を原因として様々な表層的課題が生じているにもかかわらず、もしかしたらこの深層的課題が誰にも認識されていないのではないか、とのファウンダーの視点に基づき、掘り下げ、探求し、「貨幣」、「文字」、「情報」、「価値」、「資産」、「負債」、「債権(貸し)」、「債務(借り)」、「信用」、「決済」、及び「評価」の相関性から、どの部分に不具合が生じていて、その原因となる相関性はどうなっているか分析しつつ、共生型生物としての人間に内在される原理としてのメカニズムに照らして、深層的な部分に生じてしまっている課題を根治させるべく、これらの相関性の再構築を図ろうとしたものです。
ゆえに理論の中核は「MEDIUM」であり、そして表層化する存在の名称には「INTER」を冠しており、これに「UNIVERSE」と「CURRENCY」を続けて、「INTERVERSE」、及び「INTERCURRENCY」と命名されました。
ここで上述の、深層的な部分に生じてしまっている大きな課題について説明します。
本来、人間は、それぞれに先天的、及び後天的に備えられる「基本的な欲求」に基づいて、グループ内において、それぞれの役割を担おうと、能動的活動を行います。
なお、「基本的な欲求」について、的確にまとめられた理論として、Maslow’shierarchy of needs があります。「基本的な欲求」については、こちら を参照ください。
そして、この「役割を担おうとする能動的活動」の延長線上に「経済活動」はあります。
つまり、原始的には、「基本的な欲求に基づく能動的活動」である「社会活動(換言すると、生命活動(生活)、すなわち生産及び消費活動を含む価値交換活動)」であったものが、「貨幣という価値交換媒体の誕生」によって、「貨幣数量で表される社会活動」、すなわち「負債量(価値交換媒体の数量で表される負債の大きさ)」を肥大化させる「経済活動」に置き換わっていきました。
そうすると、①「社会活動+貨幣(価値交換媒体)=経済活動」でなければ片手落ちであり、また、②「時間とともに肥大化する負債量(価値交換媒体の数量で表される負債の大きさ)を減少させる措置」がなければ永続的なエコシステムが築けないことは自明です。
しかしながら、現実の社会を鑑みるに、❶「経済活動」に含まれない「社会活動」がある(貨幣数量で表されることのない、役割を担おうとする能動的活動がある)ように、また、❷負債量は時間とともに肥大化する(負債量を減少させる措置がない)ことがあるように、①と②は実現されていません。
これにより、現状として、【「基本的な欲求」に基づく「経済活動」】は、いびつな形になっているという問題がありました。
ここで、「いびつな形」が生じてしまっている結果に起こる現象として、数多の表層的な課題(人々に視覚化され得る課題)の存在が挙げられます。
例えば、表層的課題として、金融危機、テロリズム、貧困、及び格差拡大などが挙げられます。
つまり、従来の社会には、貨幣という価値交換媒体が、社会において適切に実装(社会的メカニズムとして適切に機能)されているとは言えない、という大きな課題がありました。
このようなことをもって、「深層的な部分に生じてしまっている大きな課題」を解決する手段として、本理論体系の考察は進められました。
このように、インターヴァースは、言わば表層的な従来のメディア・プラットフォーム、コンテンツ・プラットフォーム、EC、及びSNS等のICTプラットフォームサービスと同じレイヤーのサービスを提供することを目的にしているわけではなく、さらにインフラ側に位置する「基盤レイヤー」としての深層的プラットフォームサービスを社会に提供することを目的にしています。
そのため、従来の表層的プラットフォームサービスと必ずしもすべてが競合するわけではなく、むしろ、従来のサービスを内在させる(構築する基盤レイヤーの上で活動させる)ことも可能であり、それだけ、インターヴァース及びインターカレンシーは、社会インフラとしての機能を発揮し得るものです。すなわち、インターヴァース及びインターカレンシーを含み構築されるICTプラットフォームは、従来にない、本来の意味における「プラットフォームである」と言えるでしょう。
3-2,インターヴァースの特徴(メタバースを超えている!?)
次に、インターヴァースの特徴について説明します。
- 【第1経済活動】(第2経済活動と表裏一体)
記事等の創作物を無償で提供するユーザがいて、他方で提供された創作物を無償で取得するユーザがいて、これら創作物の無償の提供及び取得行為が国家等の主体群内外において行われるようになります。そうした中、プラットフォームに内在されるICTアルゴリズムによって、これらの行為(第1経済活動と称しています)から生じる経済価値が定量化されて、創作物を無償で提供したユーザに対して、彼等がそれぞれに創造した経済価値に応じたインターカレンシーが、国家等の主体群それぞれの購買力の大小も反映しながら適切に発行されます。
これにより、従来、価値化されていなかった無償で提供及び取得される創作物の経済価値が定量化された状態で表面化します。すなわち「信用貨幣」の生成です。無償で流通する情報の価値化とは、信用貨幣の生成であるということです。人々は、こぞって創作物を創出し、その他の人々に、より高品質化させた創作物をより多く無償で提供するようになることでしょう。換言すると、無償交換価値の流通によって発行される信用貨幣としての評価本位貨幣インターカレンシーは、人々の共同体における役割の発揮により生成されるエネルギーの変容した姿であると言えます。 - 【第2経済活動】(第1経済活動と表裏一体)
上記の「第1経済活動」によってネットワーク上に生じる経済価値(エネルギー)を取得しようとするユーザの行為があって、これを「第2経済活動」と呼んでいます。ユーザは、インターカレンシーを消費し(言わば「食べ」)て自らの目的を果たす(利益を享受する・エネルギーを摂取する)べく、対象ユーザに対して影響を与えようとするタイプの行為(プッシュ型の第2経済活動)や、ビッグデータとして集積されたデータから価値を取り出そうとするタイプの行為(プル型の第2経済活動)等を行います。
すなわち、第2経済活動によって見いだされることとなった経済価値(摂取されたエネルギー)と、第1経済活動によって生じる経済価値(生成されるエネルギー)とが、債務と債権の相関性に基づきプラットフォームに内在されるICTアルゴリズムにより適切に決済されることによって、インターカレンシーが発行と消滅を繰り返しながらユーザ間を流通するものです。
これにより、インターカレンシーの単位あたりに内在される購買力の源泉となる経済価値(評価に基づくエネルギー)の度量(価格の度量標準)を制御することができるようになり、さらに、データサイエンスの基礎となるビッグデータを社会に還元、及び経済価値を社会において効果的に循環させることができるようになるものです。 - 【第3経済活動】(第1経済活動の変形パターン)
インターヴァースにおいては、通貨価値の制御可能且つ安定した決済手段としてのインターカレンシーがユーザに用いられます。また、第1経済活動、及び第2経済活動も行われます。そのため、ユーザによる記事等の創作物は、その他のユーザに対して無償に限らず、有償で提供することもできます。つまり、コンテンツの売買等、通常の人々の経済活動が、国家等の主体群内外において行うこともできます。
すなわち、国家をまたぐ態様の共通の決済手段であるインターカレンシーを内在するインターヴァースにあっては、人々の提供しようとする創作物について、すべてを無償で取り扱うのではなく、人々に追加的な負荷を生じさせることなく有償の経済価値として取り扱うことができるものです。 - 【第4経済活動】(第3経済活動の変形パターン)
上記の第1から第3までの経済活動については、インターヴァースにおける定型的な価値交換プラットフォームにおいて、ユーザが任意に経済活動を行うものとしております。他方で、インターヴァースにおいては、定型的な枠に収めることなく、ユーザ間において任意に経済活動を行えるようになっています。言わばインターカレンシー口座を、一般的な銀行口座のようにして、例えば、インターヴァースや実社会における価値交換の媒体としてインターカレンシーを用いることもできるものです。すなわち、自由取引です。
これにより、ユーザにとっては、ありとあらゆる価値の媒介手段(価値交換媒体)として、インターカレンシーを利用することができるようになり、ユーザの経済活動は、国内外においてインターヴァースに限らず実体経済においても、より一層盛んになることでしょう。
以上、インターヴァースでは、利用者は、第1~第4までの経済活動を行うわけですが、これはまさに、私たちが日々、行っている経済活動(社会活動)に他なりません。私たちは、実社会(実体経済)の中において日常に取り組みながら、一方で、デバイスを通して、インターヴァースの中においても日常に取り組むようになることでしょう。
このとき、実社会と、インターヴァースとは、シンクロしながらシナジーを発揮し、より明るい未来を私たちに照らしてくれることでしょう。
3-3,ジャーナリズムを支える文字という価値交換媒体の役割
3-3-1,文字の役割
古代より現代にいたるまで、人類の進化にとって文字が果たした役割は絶大であり、また、文字は人々の間で情報という価値を場所と時間を超えて運ぶ価値交換媒体であった、ということは冒頭でお伝えした通りです。
ここで文字について少し整理しておきます。
共同体において、さらには共同体をまたいで、文字が負荷なく流通することによって、私たちの社会は豊かになっていきます。
今日では、文字だけでなく、音声や映像をそのままの姿(又は加工された姿)で場所や時間を超えて流通させる環境も整っており、さらには、プログラムを用いたソフトウェアであったり3Dプリントデータであったり、言語基盤をICTとして活用する環境は日増しに進歩しています。
私たち人類は、進化の過程で生命活動に深く刻み込まれた「何か」に突き動かされるように、共同体のメンバー(または共同体そのもの)に価値を提供しながら、また他方で共同体のメンバー(または共同体そのもの)から価値を取得します。
ここで「価値」とは、言語を基盤とした文字をはじめとする様々な情報としての「価値」です。
私たち人類は、生命の危険を回避する技術として文字を発明し、これを共同体における価値交換媒体(ICTプラットフォーム)として機能させることによって、場所や時間を超える価値の流通を実現させたとされています。
文字があったからこそ、私たち人類は絶滅することなく今に至っていると言えるでしょう。
価値は文字によって運ばれるということです。
3-3-2,ジャーナリズムの役割
伝言掲示板、看板、新聞、雑誌、書籍、劇場、映画館、ラジオ、テレビ、記憶媒体、及びコンピューター、並びにインターネット。
これらは、すべて言語を基盤とした文字という情報としての価値を場所や時間を超えて人々の間で流通させることを目的としたICTプラットフォームです。
古くは、楔形文字や象形文字に始まり、後に紙と筆記具、そして印刷の発明によって広く人々に用いられるようになりました。
そうして、長い歴史の中で進化し続けた文字体系(言語体系)もあれば、歴史の中に消えていった文字体系(言語体系)もあります。
すなわち文字の歴史とは、文明衝突(文明と文明の交差、つまり共同体の交差)の歴史です。
この点、現代におけるコンピュータとインターネットの歴史にも通じます。
このように私たち人類は、生存活動の中からICTを進歩させてきたと言えるでしょう。
また他方で、文字が用いられるようになった文明では法(ルール)が整備されるようになりました。
これは、文字の誕生によって共同体における価値の流通が盛んになると同時に、さらに貨幣(信用貨幣)の誕生(詳しくはセクション2の「インターカレンシーについて」をご覧ください )もあって共同体における価値の流通規模が爆発的に大きくなり、そうして文明の発達した共同体が他の文明を飲み込むという構図が現れたことによります。
このようにして規模の大きくなった共同体(文明)を円滑に管理するために法(ルール)が整備され、そこに統治者が誕生したとされています。
すなわち文明の発達による、支配従属関係の確立です。
そして、貨幣の誕生に伴う奴隷制も合わさって、文明は現代にいたるまで発達を遂げるようになります。
つまり、貨幣と、文字と、法とが支配者を生んだということです。
支配者の出現した文明のたどる歴史は一つです。
早かれ遅かれ最終的には、法と、文字と、貨幣とを、恣意的に乱用します。
見方を変えると、現代におけるポピュリズムも一種の支配者であると言えます。
すなわち人類は、自らの生存を目的として文明を発達させた原動力の中に、そもそもとして自らの生存環境を破壊してしまうという、大きな矛盾を抱えた存在であると言えます。
これを抑制する仕組みは必要不可欠です。
翻って近代の歴史は、ジャーナリズムが果たす役割から把握することができます。
- 領土拡大政策と、それを後押しする政財界及びマスメディア
- 植民地政策と、それを後押しする政財界及びマスメディア
- 資源調達政策及び販路拡大政策と、それを後押しする政財界及びマスメディア
- 保護主義等の国家主義と、それを後押しする政財界及びマスメディア
- ポピュリズムと、それを後押しする政財界及びマスメディア
- そして、マスメディアから発信される言語を基盤とした文字をはじめとした情報たる「価値」の方向性を恣意的に制御しようとする存在
すなわち、ICTの発達した現代においても、未だにジャーナリズムは真に確立しているとは言えない状況にあります。
これは、現代におけるマスメディアの収入源が、政財界の支払う広告宣伝費に直接的に依存していることから、マスメディアに属するジャーナリストの提供する「価値」の方向性に一定のバイアスが生じていることに他なりません。
さらには、組織に属さず真にジャーナリズムを追い求める有志もまた、活動資金の在り方によって活動の方向が左右されている現状にあります。
つまり、事業者としての私たちの行う広告宣伝活動と、購買者としての私たちの行う情報取得活動と、ジャーナリズムとは、密接につながりを持つ三位一体の活動であることから、これらを完全に切り離すことは不可能であったということです。
結局のところ、法と、文字と、貨幣とが、恣意的に乱用されることを抑制する仕組みは必要不可欠であるとの共通認識が、私たち人類共通の課題として共有されているとしても、これを効果的に実現させる仕組み、すなわちジャーナリズムの確立を支えるICTプラットフォームが未だ社会に存在しないという問題がありました。
3-3-3,ミッション
私たち人類は文字を発明し、また貨幣や法を発明して文明を発達させ、絶滅することなく現代にまで生きながらえてきました。
しかしながら、言語を基盤とする文字をはじめとした情報たる価値、及び負債を基盤とする貨幣量で表される価値の流通速度、及び流通量の増大した現代において、これから先の未来に何が起きるか誰も把握できていないという、極めて大きな問題があります。
特に、現代は、シンギュラリティ―や情報革命などと言われる時代です。
法と、文字と、貨幣とが、恣意的に乱用されることはないと誰が言えるでしょうか?
このような背景から評価本位貨幣インターカレンシー、及び価値交換領域(経済活動領域)インターヴァースは誕生しました。
インターヴァース、及びインターカレンシーの存在によって、未来の社会では、法と、文字と、貨幣とが、恣意的に乱用されることはなくなることでしょう。
MAXELEのミッションは、「キャピタリズム、ジャーナリズム、及びリベラリズムを進化させ、社会に機会を創造する」です。
MMTは、そのために生まれました。
3-4,ビッグデータの重要性
3-4-1,ビッグデータは公共の財産である
AIに関する技術は、日増しに進歩していることがあります。
また、IoT機器の進歩も目覚ましいものがあります。
そうした中、ICTプラットフォームと称される、決済サービス等の金融サービスを含むICTサービスが乱立してきており、各サービス提供者ごとに、それぞれマーケットを寡占するようにビッグデータが収集されるようになってきております。
そして、ビッグデータを収集するICTプラットフォーム・サービス提供者ごとに、自らの事業に有益になるように、回収したビッグデータを利用する流れが構築され始めています。
翻って、IoT機器を通して収集されるビッグデータを、AIを用いて価値化しようとするとき、アウトプットされる価値の大きさは、収集されるビッグデータの大きさに依存します。
それこそ、どれだけ優れたAIやIoT機器を開発したとしても、インプットするデータ(言わば「生データ」)の量が少なければ、価値あるアウトプットは得られません。
すなわち、ビッグデータを価値化させようとするとき、収集するデータの量は、「大きければ大きいほど良い」という理屈が成り立ちます。
このような背景から、私たちがIoT機器を用いて利用するICTプラットフォーム・サービス提供者は、いかにしてユーザを囲い込むか躍起になってきており、それぞれ資本を肥大化させ、また企業連合体を構成し、マーケットの寡占を進めている状況にあります。
そして、マーケットの一部を寡占した後に、肥大化させた資本に対する利益の還元(自己への再投資も含む)を目的にして、収集するビッグデータを価値化する流れがあります。
端的に言って、これが世間をにぎわせている「スタートアップ」や「ユニコーン」や「ビッグテック」と称されるICTプラットフォーマーの本質のように思うことがあります。
この点、従来のサービスのように企業間に競争原理が働いて、「私たちの生活はより豊かになるだろう」という考えもなくはありませんが、近年のテック業界の状況を鑑みるに、そのような、言わば性善説のようなものは通用せず、世界の企業時価総額ランキングの推移をみるに、大きな企業がより大きく成長する傾向にあるように思っています。
例えば、かなりの数のスタートアップ企業が、ある程度大きくなったところで、ビッグテック等に買収されていることも関係しているようです。
そもそも、企業がビッグデータの収集量を増やし、そして集めたビッグデータから価値を抽出する目的は何なのでしょうか?
こうした原理原則は忘れてはなりません。
改めまして、ビッグデータは、より大きく収集することによって、より大きな価値を生み出すという性質がある中で、私たちは、未来のビジョンをどのように描くべきでしょうか?
ある特定の企業、又は企業集団によってマーケットが寡占され、本来は公共の財産として社会に価値を発揮し得るビッグデータが、特定の企業、又は企業集団に寡占される状態について、未来の私たちはどのように思うか今一度考える必要があるように思っています。
究極的に言えば、ビッグデータは公共の財産として一か所に集められ管理されるべきであり、事業者は、集められ管理されたビッグデータから、自らが欲するデータを対価を支払い購入するべきであり、事業者によって支払われたデータの対価としての経済価値は、ビッグデータの収集に貢献した者に還元されるべきであり、これらはシナジーをもってサイクルさせるべきです。
評価本位貨幣インターカレンシーの流通する、インターヴァースを含むICTプラットフォームは、以上のような考えも反映して設計されています。
特に、ユーザの経済活動全般についてシステムがビッグデータを収集できるようにしており、システムによって収集されたビッグデータから、求めるデータを抽出する事業者等のユーザが支払う経済価値が、ビッグデータの収集に貢献したユーザに合理的に与えられるようになっています。
ゆえに、本プロジェクトは、「社会に対してデータサイエンスの基盤を提供する」と標榜する次第であり、そうして、構築されるICTプラットフォームの運営主体については、意思決定プロセス等を含む機関構成について、よくよく考えなければならないと考える次第です。
3-4-2,ビッグデータから経済指標等が取り出せる
一般的に、私たちの経済活動の結果を定期的に収集・分析等することによって得られる経済指標に基づき、国家はもとより企業等も含み社会は運営されています。
つまり、経済指標がどうなっているかを常に意識した運営を、それぞれの立場から、皆が行っているということです。
政策決定や金融取引などは、経済指標に依存する行為の最たる例です。
従来、経済の変化速度が比較的に緩やかであった頃は、経済指標の抽出タイミングと、実際の経済状況とは、それほど大きな乖離はなく、問題となるような事例もそう多くなかったように思います。
しかしながら、インターネットの普及等の技術の進歩によって、情報の流通速度を含む経済の変化速度は、極めて速くなってきており、従来の経済指標の抽出タイミングや、そもそもとして収集・分析する対象となる情報の鮮度や精度が相対的に悪くなってきています。
この点、Googleが収集する検索クエリというビッグデータを用いてのインフルエンザの流行予測が行政による流行予測に先んじた話題など、その最たる例です。
以上のような、公共性の高い経済指標等の、社会をかじ取りするためのデータ取得にも、テクノロジーは利用されるべきです。
すなわち、ビッグデータという公共の財産が、営利を目的とする一企業や一企業集団に寡占されてしまってよいものでしょうか?
個人情報の営利目的使用の問題もあります。
ビッグデータの1次取得者のありようは、十分に考慮されてしかるべきでしょう。
3-4-3,アルゴリズムを動かし続けるための燃料になる
評価本位貨幣を流通(発行・消却・増加・減少を含む)させ続けるためのアルゴリズムは、インターヴァースにおけるユーザによる第1経済活動によって生じた経済価値を取り出そうとするユーザの第2経済活動に係る有償消費行為を一つの起点としています。
そして、当該第2経済活動には、「プッシュ型」(広告宣伝活動等のユーザに影響を与えようとする経済活動)と、「プル型」(ビッグデータ取得等のユーザの行動傾向等を知ろうとする経済活動)とが想定されています。
そうして、第1経済活動におけるユーザの言わば債権保有量を決済するように、評価本位貨幣は当該ユーザに対して発行されます。
すなわち、アルゴリズムを効果的に動かし続けるためにも、また、ユーザが無償で価値をその他のユーザに対してより大きく提供しようとするエネルギーを増加させるためにも、システムによるビッグデータの収集は重要になってきます。
3-4-4,ビッグデータのまとめ
以上、ビッグデータの未来における価値は、その1次取得プロセスのありようによって変わってきます。
ビッグデータは公共の財産として取り扱われるべきであり、そのアウトプットは私たちの未来を変える力を有しています。
今回の発明技術を用いたICTプラットフォームは、ビッグデータを価値化する社会基盤としての役目を担うようになることでしょう。
4,発明により構築可能となる情報流通技術基盤について
信用創造可能なステーブルコインとはいったい?
構築可能なICTプラットフォームのモデルとして、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)に応用しての統一通貨(国際通貨)モデル」と、「担保資産を必要としないICOによるステーブルコインモデル」とに分けて説明します。
4-1,統一通貨(国際通貨)を中核とする広域経済圏構築モデル
4-1-1,バンクマネーとして統一通貨/国際通貨(仮想通貨/暗号資産)を供給するモデル
まさに、発明技術をフル活用するモデルです。いわゆる、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の未来における一つの答えです。
これは、国家等の主体群ごとに、インターカレンシーの信用発行権を有する機関、すなわち主体群におけるインターカレンシーの信用発行を主導する中央銀行を設置(運営機構Xが信用発行権を委譲)し、そして当該中央銀行に紐付く態様での市中銀行を主体群内において複数設置(中央銀行に属する市中銀行を選定)し、そうして当該市中銀行を通じて主体群への統一通貨(国際通貨)としてのインターカレンシーの供給を行うモデルです。
このモデルの特徴は次のようなものです。
- 運営機構Xは信用発行を行わず、情報流通基盤事業に徹する。
- 中央銀行は無限の信用発行権を有し主体群内(国内)におけるシニョリッジ を独占し、且つ国内金融政策を実行できる。
- 金融サービスは市中銀行によって行われるにもかかわらず、ユーザにおけるいわゆる普通預金口座は運営機構Xの管理するインターカレンシーウォレットのみになる。
- 市中銀行による、インターカレンシーの市中への供給に際しての原資としてのインターカレンシーの調達手段が、市中ユーザからの投資としての預金等はあり得るものの、自身が属する中央銀行からの信用発行に限られるようになる。そのため、市中銀行自身による信用発行(信用創造)が行われることはなく、中央銀行と市中銀行との協働によるインターカレンシーの市中への供給(信用創造・貨幣創造)が行われるようになる。
- インターカレンシーの単位価値(すなわち単位購買力や価格の度量標準や価値尺度基準とも称される貨幣単位あたりの経済価値)の制御は、運営機構Xの専用行為となる。
- 市中銀行に対する無限の信用発行権を有する中央銀行に対して、信用発行権を有しない市中銀行であることから、市中銀行のデフォルトによる不良債権処理は、当該デフォルトした市中銀行の属する中央銀行が処理することとなる。
- 運営機構Xの管理する、ユーザに与えられるインターカレンシーウォレットは、運営機構Xの管理するインターヴァースにおけるウォレットとしても機能する。
- 融資による預金創造を通じた通貨の市中供給に限らず、紙幣発行や国債引受等の従来の金融システム全般についても構成に含めることができる。
つまるところ、本モデルについては、「インターカレンシー」が先にあって、「インターヴァース」は後にあるようなイメージで見ていただけるとわかりやすいように思います。
すなわち、バンクマネーとして、ニュメレール財としてのインターカレンシーを発行するという、従来の金融システムの進化モデルになります。この場合に、インターカレンシーは、アルゴリズムによって定期的に減価して流通数量が増加する、純粋なニュメレール財としての「評価に応じて金利の生じる単位交換価値の制御可能な評価本位貨幣」として、インターヴァース及び実体経済において、あらゆる価値との交換はもとより、他のバンクマネー(従来の法定通貨)や暗号資産等の従来の価値交換媒体とも交換されながら世界中の人々の間を流通するようになるでしょう。
無限に発行可能な国際通貨の誕生です
4-1-2,補足
本モデルについて説明を追加いたしますと、運営機構Xは、信用発行権を委譲した結果として、個人や事業者等のユーザと同じように、融資を受けて事業を行う一つの経済主体になります。すなわち、運営機構Xの売り上げは、構築するプラットフォームにおいてユーザの経済活動から生じるスプレッド利益と送金手数料になります。つまり、運営機構Xは、プラットフォームを利用するすべての経済主体としてのユーザから、公平に、彼らの経済活動における一部(負担に感じない程度)の額(例えば、経済活動数量の0.1%等)を回収して収入を確保するようになります。
このように、運営機構Xは、自身が構築するプラットフォームから独自に収入を得ることができることがあるため、シニョリッジも金利収入も必要なく、これにより、各国中央銀行に信用発行権を完全に委譲することができるようになるものです。
ゆえに、運営機構Xは、プラットフォームを利用する経済主体と同様に、融資や出資を受けて事業を行うことができるようになるものです。
独立した国際情報機関の誕生です
4-2,従来金融システムと併存させるICOによるステーブルコインモデル
4-2-1,ステーブルコインとして供給するモデル
信用発行システムを備えることなく、従来のステーブルコインのような仮想通貨(暗号資産)として、ICO(Initial Coin Offering)によってインターカレンシーを供給するモデルです。いわゆる、ビジネス主体としてのICTプラットフォーマーの未来における一つの答えです。
このモデルの特徴は次のようなものです。
- 自律的に数量が増加(又は減少)する単位価値(単位購買力)の制御可能(安定も含まれます)な貨幣である。
(第2ネットワークとしてのブロックチェーン・ネットワークに流通する第2価値交換媒体としてのインターカレンシーであって、ウォレット・アプリケーションの交換機能によって、第1ネットワークとしてのインターヴァースに流通する第1価値交換媒体としてのインターカレンシーに価値を接続され、通貨の単位に含まれる経済価値の大きさが一定に保たれながらも、需要等に応じて、数量が増減するもの) - そもそも「ペッグ」という概念のない無限に生成可能な本位貨幣である。
(資産としての価値の根拠を外部資産の経済価値に委ねることなく、無限に生じ続ける人々の生命活動欲求に基づく経済価値に価値の根拠が置かれていることから、理論上、発行上限という概念は存在しないため、ニュメレール財としての機能を無限に発揮し得るもの) - 良貨であって、且つ悪貨でもあるため、取得されやすく、また使用されやすい。
(通貨流通速度を上昇させるアルゴリズムの存在によって、人々の間を流通させやすくなるもの) - 実社会における有償価値の流通を媒介する価値交換媒体である。
- インターヴァースにおける有償・無償を問わない価値の流通を媒介する価値交換媒体である。
つまるところ、本モデルについては、「インターヴァース」が先にあって、「インターカレンシー」は後にあるようなイメージで見ていただけるとわかりやすいように思います。
すなわち、インターヴァースを構築するためにICOによってインターカレンシーを発行するという、従来の(リブラのような)ICOモデルになります。この場合に、インターカレンシーは、アルゴリズムによって需要等に基づき増加する、純粋なニュメレール財としての「評価に基づき自律的に金利の生じる単位交換価値の安定した評価本位貨幣」として、インターヴァース及び実体経済において、あらゆる価値との交換はもとより、他のバンクマネー(従来の法定通貨)や暗号資産等の従来の価値交換媒体とも交換されながら世界中の人々の間を流通するようになるでしょう。
無限に発行可能なステーブルコインの誕生です
4-2-2,ローカルカレンシーとしての活用
なお、余談としまして、構築するプラットフォームについてミニマムに考えると、例えば、インターカレンシーを地域通貨(ローカルカレンシー)として地方自治体等が発行するパターンもあります。
この場合には、ICOによってステーブルコインとしてのインターカレンシーをブロックチェーン上に発行する対価として地方自治体等が取得する資産は財源として計上され、当該財源は、ICTプラットフォームを構築する予算等に活用されることになるでしょう。
すなわち、ペッグ対象資産を必要とすることなく発行され、自律的に内在する価値が制御され続けるインターカレンシーは、ICTプラットフォームのアルゴリズムによって、人々の活動から生じ続けるエネルギーを価値の根源とすることができることから、ICOによるシニョリッジは純粋に発行者の財源として活用できるということです。これは、従来のペッグ対象資産を必要とするステーブルコインとの極めて大きな違いであると言えるでしょう。
言わば「錬金術」の誕生です
金本位信用貨幣(金本位制)は、信用貨幣に内在させる経済価値を金に置いていました。
評価本位信用貨幣(評価本位制)は、信用貨幣に内在させる経済価値を評価に置いています。
評価本位貨幣インターカレンシーは、ステーブルコインの枠に収まりきるものではないと言えるでしょう。
“ICTプラットフォーム”=“ミディアム”
それが、理論の核心です。